バンガロール備忘・見聞録

バンガロールについてのなんやかんやと好きなことについての話

メトロでインドを感じた話

日本の気温を聞くたびに遠い国のように感じてしまうこの頃、バンガロールは雨季に入っています。


バンガロールの雨季は渋滞が非常にひどい。
元々道路状況が良いとは思っていませんでしたが、スコールが降れば道路がそこらじゅうで冠水するし、交通量がコロナ前と同じ程度に戻ってきたこともあり、どこもかしこも渋滞祭り。

バンガロールの交通事情については言いたいことが山ほどありますが、今日は道路のことではなくメトロについて書きたいと思います。
(私がバンガロール市長になったら考えている都市区画計画をいつかここで披露します)

基本的に仕事柄外出が多く、バンガロール市内を車で移動するため、メトロの存在は知っていましたが、最寄り駅と自宅が全然近くなかったり、リキシャがあれば事足りていたので、なんやかんやで乗らずに過ごしていました。

そんなある日の平日の夕方、出先からオフィスへの戻りしなに、メトロが走る鉄橋のちょうど下道を車で走っているときでした。

ドライバーにふと、メトロ乗ったことないんだよねー乗ってみたいんだーと話すと、今からその駅から乗れば?という軽いノリで提案され、お、おお、ということで、車から降ろされた。
全然知らない駅からいきなりスタート。乗り換えなしでオフィスの最寄駅着くから、と言われて、じゃあまた後でと別れる。

メトロ自体はなんの変哲もありません。チェンナイや台湾、タイなんかとだいたい同じような造りです。またバンガロールは駅も路線も少ないので、間違って別の方角に乗ったところでたかがしれています。というか間違えようがない気がする。

入念なボディチェックをして入場。
さあチケットを買うか、と周りを見渡しても券売機が見当たらない。
改札口の駅員に話しかける。

私「○○まで」
駅員「38ルピーだ」
私「500しかない」
駅員「釣りがない」

はい。インドはおつりがありません。もう存在しないといってもいいと思う。
駅って公共交通機関ですけど、そんなことと釣りのあるなしは全く関係なく、ないものはない。

おつりはどこへ行っても基本的にないので、日常で細かいお金を使うときは、私はすべて電子決済で済ませています。リヤカー?の野菜売りもQRコードを持っているレベル。
手持ちでじゃらじゃらさせる必要が一切ないため、こういう場面に出くわすことも最近では割とめずらしい。

とはいえ、もうメトロ乗る気満々だし、駅員は釣りないアピールでレジの中身見せてくるしで、そうこうしていたら5、6人が列を作って並んでいる。あー釣りができるまで待つしかないかなー、と思っていたら、皆がんがんスイカっぽいカードのチャージをしている。

お、スイカ(ではない)あるやん、そんなら500ルピー分チャージしたらええやん、と、駅員に言ってもその要望は受け入れられない。なぜ?(多分単純にきちんと伝わっていないだけ)

そんないざこざを窓口でしていると、並んでる人たちも、なんで釣りないんだよとか、
だからレジの中見ろよほら、と言って駅員とわちゃわちゃしている。

すると、駅員が並んでる一人を指さし、あの人に両替してもらえ。と言い出す。

え?と思ったら後ろに並んでいたおっさんがおもむろに大量の札束を出して、100ルピー札と200ルピー札を両替してくれた。


ありがとう、と礼を言って並び直すと、列をみんなが譲ってくれた。

多分、昔だったらちょっと泣いていたと思う。(特に旅行中の満身創痍状態)

 

そのようにして、メトロに乗ったわけですが、この一連のくだりがこれぞインド的不寛容さ(釣りのない窓口)+インド的親切さ(両替商のおっちゃん)のコンボって感じで、とても良かったです。私はインドのこういうところがとても好きです。

両替商のおっちゃんのような人と出会い、それを楽しめるかどうかでインドへの愛着は変わってくると思います。要はインドに向いてるか向いていないかです。

そもそも駅の窓口なのに釣りがないのがおかしい、で終わってしまうと、インドの良さをなかなか感じることができない。そしてもっと言えば、釣りはきっと30年後もないままだと思う。

 

結局その日以来メトロには乗っていませんが、また折を見て利用しようと思ったのでした。ちなみにバンガロール空港と市内はまだ繋がっていませんのであしからず。

これがバンガロール版スイカや!アプリをダウンロードすればチャージもオンライン上でできるとのこと。進んでいる



グリーンラインとパープルラインの2路線。十文字にのびている。