バンガロール備忘・見聞録

バンガロールについてのなんやかんやと好きなことについての話

インドについての書籍・目的別3選

 

インドに関する書籍があまた存在している中で、そもそも私はあまりインドが好きでも嫌いでもないというスタンスを取り続けているので、読書自体は好きなものの、インドに関する書籍を積極的に読むことはしていない。とはいえ、嫌いではないので、テーマに興味があれば無論読む。

いっぱい読んだ中から厳選して3選!!とかでは全くなく、あくまで私が出会い、感銘を受けた本を目的別(インド留学・インド旅行・インド駐在)にわけてご紹介いたします。

 

・インド留学について 島岩「インド—心と文化のオクターブ」(1994)

私が大学生のとき(2010年代)に、インドへ留学をするかどうか迷っているときまたは行くと決まった時(どちらだったか記憶なし)に大学の先生が薦めてくださった本。
著者は私と同じ留学先のインドの大学で、1960年―1970年代に留学をしていた時の体験談を主に書いている。留学後はインド哲学の研究者・大学の教授としてご活躍されていた。

冒頭から、インド留学のための面接、そして合格を手にするまでの色々が書かれているのがまずとにかく面白い。留学するためならどんな手段でも使ってやろうと奮闘する著者のずる賢さが最早すがすがしい。

そんな著者が描いたインド留学の日常。旅行ではなくインドで生活・勉強をするということがどういうことなのか、時代がひとつふたつ違っていても、当時の私でも鮮やかに想像がつき、そして私自身のインド留学中、本に書いてあることと一緒じゃねえか!(=変わってないじゃないか!)と思ったことが何度もあった。

お役所や事務所をたらい回しにされたり、手でカレーを食べること・手でトイレを済ますこと、日本人特有の英語の自身の無さとその学習法、旅や生活の中で出会ったインドの人々とのかかわり・・

2023年の今、インドに留学をしている日本人学生と出会う機会がしばしばあるのだが、インドの学生生活そのものの根本的な部分はあまり変わっていないようで、彼のその学生生活は、インド駐在をする日本人とは遠くかけ離れていて非常に面白いし、懐かしい。

1960年代ー80年代のインドの人々がどのような生活を送っているのか、物価の違いなんかも含めて読むと面白いです。

 

この方の感想も素敵だ

インド 心と文化のオクターブ 島岩(しま いわお)著 - うちこのヨガ日記 (hatenablog.com)

めちゃ本の価値上がってる

インド心と文化のオクターブ | 島 岩 |本 | 通販 | Amazon

 

・インド旅行について 妹尾河童「河童が覗いたインド」(1991)

インド旅本の金字塔といえばこれではなかろうか。「少年H」が有名ではあるものの、この河童大先生の覗いたシリーズはとても素晴らしい。大先生のスケッチがとにかく細微にまでこだわり、丁寧に描かれているのがまず圧巻。建造物だろうが食器だろうがガラクタだろうが、とにかくディティールまで描きつくす。ディティールもすごいのだが、覗いたシリーズには、河童先生が泊まった宿のスケッチがなぜか、神(天井)の視点から描いているものばかりで、このクオリティがすごい。自分の目で実際に見たものだけではなく、自分を天井、もっと引きで見たときの様子を全くの違和感なく描く。(天井からの部屋の描き方も別の著書にこれまた細かく書いてある)

スケッチだけでなく、文章・考え方もとても素敵だ。

自分のような日本人がインドに行ったところでインドのことを分かった気になるなんておこがましい。だからせめて行った、ではなく覗いたみたいな、そんな主旨でインドを歩き回っている。そして、ボロボロの安宿から高級ホテルまで、経験する。

好奇心ひとつで市井の人々と関わったり、どうみてもガラクタのようなものを集めてみたり、建造物のスケッチをして警察に捕まりかけたり、とても魅力に溢れている。

この旅行記も随分古いので、現代の旅行とはだいぶかけ離れてしまっているけれど、インドのかつてのカルチャーを知るためにはとても有益な一冊。

 

他のシリーズもぜひ

河童が覗いたインド (新潮文庫) | 河童, 妹尾 |本 | 通販 | Amazon

 

・インド駐在 須田覚「西ベンガルの月」(2020)

前述2本が90年代なのに代わり、こちらは新しい。というのもこのバンガロール滞在中に出会った一冊だからである。著書がエンジニアとして、インド駐在中に詠んだ短歌をまとめた一冊。(エンジニア兼歌人、言い方あってるのかな・・)

著者ご本人と知り合う機会があり、ご本人に薦めてもらった。

私は長ったらしい文章をこれでもかというくらいダラダラ書いてある長編小説を好んで読むので(夏目漱石・村上春樹など)、短歌や俳句は学生時代に教科書で知るくらいで知識も情報も持ち合わせていなかったのだが、最近になって短歌すごい、面白いとなっている。というかこの本を読んで、短歌って面白いと思った。何が面白いって、たったの5・7・5・7・7で、頭の中に映像が鮮明に写しだされたからである。脳内プロジェクターに写真もしくはショート動画が、ぱぱぱぱっとスライドに映し出されたかのような感じ。

短歌を読んでこのような現象をかつて経験したことがなかったので、須田さんの表現や感性と、自分のインド生活がいい感じにマッチングしたのだと思う。短歌なのにと言いたくなるけども、注釈が都度書いてあるので、インドを知らなくても楽しめると思います。

 

写真も素敵

Amazon.co.jp: 西ベンガルの月 ユニヴェール 電子書籍: 須田覚: Kindleストア

 

これ書いてて思いましたが、インドどうこうというよりも、著書を通して著者のことが大好きになった3選になりました。

 

以上、目的別おすすめインド本3選でした。